映像コンテンツの無断流出やAI 生成による改ざんが拡大する現在、動画に電子透かしを埋め込めば、コピー元の特定や即時の証拠保全が可能です。
本記事では、法人向けに動画に電子透かしを埋め込む必要性を解説し、動画に電子透かしを埋め込める製品を紹介します。
動画配信市場では、OTTサービスの拡大にともない、不正ストリーミングやライブスポーツの海賊版配信が大きな課題となっています。こうした環境で重要性を増しているのが、電子透かしによる映像保護です。透かしを埋め込むことで、わずか数分でリーク元のアカウントを特定し、配信停止などの迅速な対策につなげられます。
従来のDRM(デジタル著作権管理)は正規視聴環境でのコピー制御には有効ですが、画面キャプチャや外部カメラによる録画といった「アナログホール攻撃」には対応できません。そのため、実際に流出が起こった場合、DRMだけでは追跡も抑止も難しいのが現実です。
一方、電子透かしは映像そのものに識別情報を埋め込むため、録画・撮影された後でも流出経路を追跡でき、法的証拠として提示することも可能です。動画配信の健全な事業運営を支える不可欠な技術として、権利者にとって導入の必要性は高まっています。
映像に文字やロゴ、識別情報などを付与する仕組みです。視聴者から見える形で表示する「可視ウォーターマーク」と、映像データに識別情報を埋め込み、通常は視聴者に認識されない「不可視ウォーターマーク」に大別されます。用途や実装方式によって、適した活用方法は異なります。
| 比較項目 | 可視ウォーターマーク | 不可視ウォーターマーク |
|---|---|---|
| 表示方法 | ロゴや文字、IDなどを映像上に表示する | 映像データや映像信号などに識別情報を埋め込む |
| 視聴者からの見え方 | 通常の再生画面で確認できる | 通常は目視で確認できない |
| 主な目的 | 権利者の表示、無断利用の抑止、利用者情報の提示 | 流出した映像の識別、配信経路の追跡、コンテンツの来歴確認など |
| メリット | 権利者や利用者に関する情報を視覚的に伝えられる | 映像の見た目を大きく変えずに識別情報を付与できる |
| 注意点 | 映像の視認性に影響する場合があり、切り抜きや加工で除去される可能性もある | 情報の検出に専用の仕組みが必要となる場合があり、検出性能は方式や加工条件によって異なる |
| 主な用途 | 宣伝用動画、社内共有用映像、レビュー用コンテンツなど | 有料動画配信、未公開映像の配布、流出映像の識別・調査など |
映像の権利者や提供元を明示したい場合や、共有先に無断転載を控えるよう促したい場合に適しています。
映像上に表示するため、配置や大きさによっては視聴体験を損なう可能性がある点はデメリットです。映像の切り抜きや加工によって表示部分が除去される可能性があるため、可視ウォーターマークだけで不正利用を完全に防げるわけではありません。
映像の見た目を大きく変えずに識別情報を付与したい場合に適しています。方式によっては、配信先や視聴セッションごとに異なる情報を埋め込むことができ、流出した映像から識別情報を検出することで、不正利用の調査に役立てられる場合があります。
検出には対応する解析システムなどが必要となることがあり、すべての加工や再エンコード後も必ず検出できるとは限りません。導入時は、対象となる動画形式や配信環境、検出方法、識別情報の管理方法などを確認することが重要です。
可視ウォーターマークと不可視ウォーターマークは、目的に応じて併用することもできます。可視方式で権利者や利用者に関する情報を示しながら、不可視方式で流出した映像の追跡に必要な識別情報を埋め込むことで、それぞれの特徴を活かした対策を検討できます。
ウォーターマークだけですべての不正利用を防げるわけではありません。動画の暗号化やアクセス制御を行うDRMなど、ほかのセキュリティ対策と組み合わせ、コンテンツの配信形態や保護要件に合わせて運用することが大切です。
ここでは、「動画」に電子透かしを埋め込める製品を提供している企業(3社)を紹介しています。
【調査対象】
下記の条件のいずれかに該当した企業(計13社)
①2025年6月9日時点のGoogle検索「電子透かしソフト」で表示された上位30位までのうち、「電子透かし」に関するソフト・サービス・ソリューションを提供している旨を公式サイトで確認できた企業
②2025年7月2日時点のGoogle検索「digital watermarking vendor」で表示された上位30位までのうち、「電子透かし」に関するソフト・サービス・ソリューションを提供している旨を公式サイトで確認できた企業
【選定条件】
調査対象のうち、動画を対象とする電子透かしのソフト・サービス・ソリューションを提供している旨を公式サイトで確認できた企業(調査期間:2025年7月2日)
Digimarcは、不可視性と複数箇所に重複・分散して識別情報を埋め込むことを両立した独自アルゴリズムを採用し、HD・4K・8K映像に対しても画質劣化を抑えたまま埋め込みが可能です。
C2PA2.1準拠機能を実装し、生成AI時代の改ざん検知や真贋証明にも寄与しています。
| 電子透かし製品の種類 | ソリューション |
|---|---|
| 可視透かし | 記載なし |
| 不可視透かし | 〇 |
| 対象物 | 動画データ(ファイル形式は非公開) 画像データ(ほとんどのファイル形式に対応) ※ベクター画像、ラインアート画像、パレット画像、白黒画像、シングルチャンネルグレースケールは対象外 音声データ(WAV、MP3、M4A) 印刷物(製品パッケージに電子透かしを印刷・読み取り可能) |
| 運用方式 | クラウド |
| 連携できるシステム・ソフト | Adobe、Photoshop、Illustrator |
| 自社開発の対応可否 | 〇 |
導入企業はMy.Digimarcポータルから24時間問い合わせチケットの発行ができ、FAQ、設計ガイド、品質検証ツールのドキュメントが随時更新されます。利用開始後のトレーニングウェビナーやユーザー会も定期開催されているため、社内に専門家がいない組織でも安心して運用可能です。
クライアント側でフレーム単位に電子透かしを付与する「VideoMark」と、視聴者の環境に合わせて動画の画質を自動的に調整するABR配信に適正化したサーバ側挿入型「StreamMark」を組み合わせ、ライブ・VODの双方にセッションベースのIDを埋め込みます。
映像解析に基づくリスクレベル判定機能により、不正が疑われるセッションに絞って遅延なく追跡できるのが特徴です。
| 電子透かし製品の種類 | ソリューション |
|---|---|
| 可視透かし | 記載なし |
| 不可視透かし | 〇 |
| 対象物 | ライブ配信 オンデマンド配信 放送用コンテンツ(地上波・BS・CS)など |
| 運用方式 | クラウド、オンプレミス |
| 連携できるシステム・ソフト | 記載なし |
| 自社開発の対応可否 | 記載なし |
国内代理店イノコス経由で導入すると、日本語ヘルプデスクが一次窓口となり、Verimatrixのグローバルサポートと連携して対応してもらえます。
ユーザー専用ポータルにはナレッジベースとオンラインチケット管理が統合され、運用担当者向けの「Verimatrix University」ではウォーターマーク実装・運用コースをオンデマンドで視聴可能です。
アップデート通知や脅威インテリジェンスレポートも配信されるため、脆弱性への迅速なパッチ適用が行えます。
圧縮された動画データを直接書き換える独自方式で、既存エンコーダーを変更せずに導入できるコスト効率の高さが魅力です。ハリウッドスタジオのセキュリティ要件を満たし、スポーツやプレミアムVOD向けにリアルタイムでリーク源を特定、オリジナル配信に影響を与えずに海賊ストリームを遮断できます。
| 電子透かし製品の種類 | ソリューション |
|---|---|
| 可視透かし | 記載なし |
| 不可視透かし | 〇 |
| 対象物 | 動画データ(圧縮済みのプレリリース動画、VOD動画、配信動画など) 音声データ(未圧縮音源、配信用音声など) |
| 運用方式 | クラウド |
| 連携できるシステム・ソフト | デバイスベンダー、コンテンツ配信ネットワークプロバイダー、ビデオエンコーダー、Web監視ソリューションなど |
| 自社開発の対応可否 | 記載なし |
Synamediaはグローバルにサービスデスクを展開しており、契約の種類に応じてSLA(サービス品質保証)付きのインシデント対応を受けられます。
専用ポータルではソフトウェアの最新版ダウンロード、ドキュメント閲覧、稼働状況のチケット追跡が行えるほか、大規模イベント前のリハーサル支援や24時間体制のライブモニタリングサービスも。
導入後も専門エンジニアが定期的にシステムのチェックを実施し、新型の攻撃手法に合わせたチューニングを提案してくれます。
映像コンテンツの不正利用や改ざんがますます巧妙化する今、電子透かし技術は、単なる補助的対策ではなく、コンテンツ保護に不可欠な基盤技術となりつつあります。リアルタイム監視や録画漏えいの追跡といった多様なリスクへの対応に加え、AI時代における真贋判定や自動検品といった新たな活用領域も広がっています。
ライブやVODなど配信形態ごとの最適化、既存設備への導入のしやすさ、機械学習やC2PA準拠といった将来性も導入検討時の重要なポイントです。
今後、動画コンテンツを取り扱う企業が信頼性を担保しつつ市場価値を維持するためには、DRMと電子透かしのハイブリッドな活用と、組織的な運用体制の整備が急務となるでしょう。自社が扱う動画コンテンツに適したソリューションの導入が大切です。
動画コンテンツは、画面録画や海賊版配信などにより、一度流出すると瞬時に拡散してしまうリスクがあります。
特にライブ配信や有料コンテンツを扱う企業では、「誰から流出したのか」を特定できる仕組みが不可欠です。電子透かしを活用すれば、映像内に識別情報を埋め込み、万が一の流出時にも迅速な追跡と対処が可能になります。
ただし、動画向けの電子透かしは「リアルタイム対応」「画質維持」「配信方式との相性」など、製品ごとに強みが大きく異なります。そのため、自社の配信形態やコンテンツ特性に合ったソリューションを選ぶことが重要です。
本メディアでは、動画配信に対応した電子透かしソフトの中から、用途別におすすめの製品を厳選して紹介しています。自社のリスク対策に適したサービスを見つけたい方は、ぜひ以下から比較してみてください。
画像の不正利用や偽造品の流通、画面キャプチャによる情報漏えいなど、対象ごとに抱えるリスクは異なります。
電子透かしソフトには、画像に埋め込むタイプ、製品パッケージに組み込むタイプ、画面キャプチャに対応するタイプなどがあり、守りたい対象に合わせて選ぶことで、それぞれのリスクを効果的に抑止できます。
画像データに
透かしを埋め込むなら
出版社/デザイン制作会社/テレビ局/
ECサイト運営会社/美術館・博物館など
商品パッケージに
透かしを刷り込むなら
製薬会社/サプリメント製造会社/
化粧品メーカー/時計ブランドなど
PC画面に
透かしを表示するなら
IT企業/コンサルティング会社/
BPO・コールセンター/金融機関など