自社の広報、マーケティング、Web制作、プレゼン資料作成など、さまざまな業務で画像データを使用する企業は、知らないうちに著作権を侵害する(または侵害される)リスクを常に抱えています。
本記事では、画像データの著作権に関する基本知識を解説しているほか、よくあるトラブル例と対策、実際に損害賠償を命じられた裁判事例などを掲載しているので、参考情報としてご活用ください。
著作権は、創作物を保護するための権利です。写真、スクリーンショット、イラスト、ロゴ、図表やグラフなど、画像データにはすべて「著作権」があります。利用したい場合、原則として著作権者の許諾が必要です。
許諾を得ることで、画像データの複製や加工、インターネット上での公開などの行為が正当化されます。例えば、Webサイトに画像データを掲載したり、パンフレットに流用したり、SNSで発信したりする際には、その都度著作権者の使用許諾を確認しなければなりません。
一方、法律で定められた「引用」の要件を満たす場合など、著作権法で認められた特定の条件下では、例外的に許諾が不要なケースもあります。
画像データを無断で利用・複製・改変する行為は、著作権法違反です。法人の代表者や従業員などが著作権法を侵害した場合、行為者を罰するほか、その法人に対しても「三億円以下の罰金刑」が科されます(著作権法 第124条第1項第1号)。
金銭的損失はもちろん、社会的信用の失墜や取引先との関係悪化といった、長期的なダメージにもつながるので、注意が必要です。
著作権法における「私的利用」とは、あくまで「個人や家庭内」に限られた範囲を指します。たとえ社外に出さない資料であっても、会社などの組織内で業務として画像をコピー・共有する行為は、原則としてこの「私的利用」には該当しません。ビジネスにおいては「社内なら大丈夫」という安易な自己判断は禁物であり、権利処理が必要になるケースが大半であるという認識が不可欠です。
ビジネスパーソンとして押さえておきたいのが、「権利者への許諾を検討する過程」での利用に関する規定です。例えば、キャラクターとのコラボ企画を社内で提案する際、プレゼン資料にその画像を貼り付ける行為などは、法的に認められています。あくまで「企画・検討の段階」かつ「必要と認められる限度」に限られますが、スムーズな企画立案のために理解しておきたい重要なルールといえます。
企業の広報ブログやSNSアカウントでの画像利用は、世界中に情報を発信する「公衆送信」にあたります。インターネット上の画像はもちろん、自社で撮影した写真であっても、他人の著作物や著名人が写り込んでいれば権利侵害のリスクも否定できません。正当な「引用」の要件を満たすか、あるいはパブリシティ権を侵害していないか、投稿前の厳格なチェックが求められます。
画像データの著作権を「侵害するリスク」と「侵害されるリスク」について解説。具体的な対策も紹介しています。
企業内部や業務委託先による著作権侵害も、重大なリスク要因です。
例えば、若手社員がプレゼン資料にインターネット上の画像データを無断で使用したり、外注先が著作権の確認をせずに画像データを納品したりすると、意図せずして企業全体が著作権侵害の加害者になる可能性があります。
このような事態に陥った場合、著作権者から損害賠償を請求されるだけでなく、企業としてのガバナンス欠如を問われるリスクも無視できません。
社員やパートナーの著作権意識を高めるためには、著作権に関する研修を定期的に行ったり、日常的な業務の中に著作権配慮の仕組みを組み込んだりすることが効果的です。
例えば、社内での利用範囲が限定されている画像データや、デザイン確認用のカンプ画像データなどに「社内利用限定」「サンプル」といった可視透かしを入れる運用ルールを設けます。「この画像データは自由に使ってよいものではない」と視覚的に伝えられるため、社員の安易な利用を防ぎ、著作権意識の醸成に繋がります。
これは外部パートナーとの連携にも応用可能です。例えば、正式な納品物と区別するために、確認段階の画像データには「CONFIDENTIAL」や「DRAFT」といった可視透かしを入れて共有することで、契約外の不正な利用を防ぐといった運用が考えられます。
検索エンジン経由で、第三者が簡単に画像データを取得できてしまう時代です。そのため、自社で制作した画像データが、無断で他者のWebサイトやSNSに転載されてしまうケースは少なくありません。
例えば、作りが雑なサイトや詐欺的要素のあるサイトに無断転載された場合、「この企業は信頼性に欠ける事業者と関係している」という誤解を招くおそれがあります。
また、風刺・悪意的な文脈やパロディ記事に流用された場合、誤解が広がり、ブランド価値が低下します。
画像データに著作権表示(「©2025 〇〇 Inc.」や「画像の無断転載を禁じます」など)を明記して、「権利者がいる」という事実を視覚的に伝えましょう。無断転載をしようとする第三者に対して、「勝手に使えば法的責任が生じる可能性がある」という警告・抑止になります。
また、画像データの出所を明確にすることも大切です。電子透かしソフトを使用して、画像データに証跡情報(証拠となる履歴情報)を埋め込んでおけば、万が一無断転載された場合でも、その画像データが自社制作であることを客観的に証明できます。法的紛争が発生した場合でも、著作権の所在を客観的に証明する資料として有効に機能します。
画像データの著作権トラブルは、「知らなかった」では済まされない重大なリスクです。
無断利用を防ぐには、著作権表示などのルール整備に加え、技術的な対策が欠かせません。電子透かしを活用すれば、コピー・改ざんの抑止だけでなく、「誰が作成したデータか」を証明することが可能です。万が一トラブルが発生した場合でも、法的な根拠として自社の権利を守ることができます。
本メディアでは、画像・パッケージ・スクリーンショットの3つに分類し、それぞれおすすめの電子透かしソフトを紹介しています。自社で扱うコンテンツに合わせて適した電子透かしソフトを導入し、データ流出やパッケージ偽造の抑止にご活用ください。
画像データの取り扱いを誤ったことで、実際に損害賠償を命じられた裁判事例をご紹介します。
| 原告 | 写真家 |
|---|---|
| 被告 | デザイン制作会社(B社)および代表取締役(個人) |
B社は、原告の写真(4点)について冊子への掲載は許諾を受けていたものの、自社Webサイトの「制作実績」ページに、約7年半にわたって無断で掲載していました。原告である写真家はこれを公衆送信権の侵害と主張し、損害賠償を請求しました。
裁判所は、掲載の態様(写真が独立して鑑賞の対象となる大きさで表示されていた点など)や、著作権者への影響の程度を総合的に考慮し、引用の要件は満たさないと判断。契約上の許容範囲も冊子利用に限られるとして黙示の許諾は不成立としました。結果、公衆送信権侵害が認定され、B社らに連帯して414万円の支払いを命じました。
なお、損害額の算定では、掲載態様や利用期間などの事情が考慮されています。
画像データの著作権に関するトラブルは、どの企業にも起こり得るリスクです。無断転載に関する裁判事例は、画像データを「使用する側」と「提供する側」のそれぞれに重要な学びを残しています。
「知らなかった」「うっかり」「引用のつもりだった」といった言い訳は通用しません。
この判断は、企業が画像データを使用する際に求められる責任の重さを示しています。引用のつもりであっても、組織としての管理体制が問われ、結果的に賠償責任が発生しました。企業は最低限でも、データの出所と権利の所在を明らかにするリスク管理をするべきです。
画像データを利用する際は、商用利用の明示がある有償サイトを利用し、利用規約・ライセンス条項を確認しましょう。画像データの取得元を社内で一元管理する仕組みや、使用許諾の有無を記録できる申請フローを導入するなどの管理体制があるとなお良いです。
裁判事例では、無断使用に気づいた画像データの権利者が、損害賠償の請求に成功しました。しかし、「気付けたから起訴できた」のであり、気付かなければ無断転載され続けていた可能性もあります。
また、無断転載・不正利用した相手に法的措置を取るには時間やコストがかかるため、無断使用の抑止策と出所を証明する対策の両方が必要です。
具体的には、電子透かしソフトを使用して、コピーライト表記などの「可視透かし」を画像データ内に入れ、無断使用を心理的に牽制します。さらに、人の目には見えない「不可視透かし」で制作者情報などの証跡を埋め込んでおきましょう。万が一無断利用された場合でも、自社の権利を法的な場面で強力に証明できます。
このメディアでは、電子透かしソフトをまとめています。 用途別におすすめのソフトを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
企業は、画像の不正利用や偽造品流通、画面キャプチャによる漏洩など、用途ごとに異なるリスクに直面しています。電子透かしソフトにも、画像に埋め込むタイプ、製品パッケージに入れるタイプ、画面キャプチャに対応するタイプなどがあり、守りたい対象に合わせて選ぶことで、それぞれのリスクに応じた抑止効果を期待できます。
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